◆リノベーションを考えたきっかけ
はじめまして、横手市の小松田園子と申します。
秋田市新屋に私の生まれ育った実家があります。
5年以上空き家の状態だったこの家は、換気や掃除のメンテナンスを定期的に行い大切にしてきましたが、今後も住む人がいないのが悩みでした。
貸し出すことや売り出すことも考えましたが、私は思い出の詰まったこの家をどうしても手放す気にはなれませんでした。
ある日、秋田魁新報の記事で「古い建物に新しい価値を与えて、使用方法を変えて再活用する」という「リノベーション」の手法を知ることになりました。
私はこの家を再生して何かできないかと考えるようになりました。
◆シェアハウス「治五右衛門」の誕生
この家からほど近いところに秋田公立美術大学があり、学生が多くいます。
美術大学の学生さんたち住んでもらえたら、下級生に次々と受け継がれ、私も大家としてこの家に携わっていけると考え、美大生向けのシェアハウスをつくることにしました。
シェアハウスの名前は「治五右衛門」。
これは、かつて実家が呉服屋だった頃の屋号です。
建物自体は築150年の内蔵(うちぐら)を残し20年ほど前に建て直していますが、代々受け継がれてきたこの地で、形を変え、世代を超えて「治五右衛門」の名前を復活させようと考えました。
◆24時間使えるアトリエ
シェアハウスの一部を利用して、24時間使えるアトリエをつくります。
(アトリエとなる内蔵の様子)
シェアハウスの中にいつでも自由に使えるアトリエをつくることで、時間を気にせず制作に没頭できるでしょうし、道具をその都度持ち運ぶ必要もありません。なにより、入居者同士が刺激しあい、より活発な創作活動が生まれることが期待できるのではないでしょうか。
◆体感型シェアハウスを目指しています
シェアハウス「治五右衛門」は、ただ住む場所をシェアするだけではなく、住む人たちが楽しみをシェアできる場所になるように計画しています。
そこで伝統体験やさまざまなワークショップを行い、日本の文化、秋田の文化、ものつくりを体験してもらえればと思っています。
そのスペースがこちらの仏間です。
(仏間の様子)
仏壇に驚く人もいらっしゃるかもしれませんが、今回のリノベーションで絶対に無くしたくなかったのが、先祖代々守ってきた、この仏間なのです。
入居者の皆さんには、仏壇も新たな「治五右衛門」のメンバーとして、大切に想っていただけたらうれしいです。
◆人が集まりつながる場所
建物に入るとすぐ、広々とした空間があります。
(広間の様子)
この広い玄関の空間と、仏間を利用して、さまざまなイベントを展開していきたいと考えています。
そこには美術大学の学生や、街の大人がたくさん集まって、学校でも、バイト先でも、親からも聞くことができないような話が聞けるかもしれない。
新しい興味の世界が開けるかもしれない。
ここに暮らす学生たちが、“第二の故郷”のように愛着を持って楽しんで暮らしてもらえたら、自然と外にその高揚感が伝わります。
たくさんの学生が集い、地域の方々とのコミュニティが形成され、明るくにぎやかな街になることを期待しています。
◆母屋のリノベーション工事は完了しましたが、まだ手のつけられていない補修が必要な場所があります。
シェアハウスそのものは完成しました。ただ、学生向けのアトリエをつくるためにはさらなる資金が必要となっており、みなさまからご支援をいただきたいと思っています。
補修箇所は以下のとおりです。
①学生たちの創造の場となるアトリエの壁面補修です。
年季の入った壁はだいぶ傷んでいます。
創作活動の場にふさわしく、学生たちに自由に補修してもらおうと考えています。
②広い玄関ホールの壁と天井の塗装です。
シェアハウス「治五右衛門」に入居した学生たちに、愛着を持って長く受け継いでいってもらえるように、本人たちに手を入れてもらいながら仕上げていきます。
今後入居者が変わるごとに塗り替えていってもいいと思います。
たくさんの手で受け継がれていく場所にしたいです。
③外構工事もこれから行います。
現在は木が埋められていて、雰囲気はいいのですが、雨の日はとても滑ります。
安全に暮らしてもらうためには滑りにくい素材に改修する必要があります。
みなさまからご支援頂いたお金は、これらの材料費、工事費に使わせて頂きます。
このクラウドファンディングをきっかけに、今後増えるであろう空き家の活用方法のヒントになることができたら嬉しいです。
(シェアハウスの外観)